シズカンヌ映画祭 in イタリア
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こんばんは✨シズカです🎥
本日も一緒に過ごして下さった皆さん、ありがとうございました💕
ワタクシ、映画好きを自称していながら不勉強だったのですが「イタリアのアカデミー賞」と呼ばれているダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞がアツい。らしい。
今年度のドナテッロ賞にて、16部門ノミネート、6部門受賞したのが「フリークス・アウト」。
特殊能力を持ったサーカス団の団員たちが、ナチスドイツと戦うーーと言う設定だけ聞くと、B級ビザール映画か?と思いきや、なかなかの佳作でした。
元々、ワタクシ
🎪「少女椿」
🎪「異形の愛」
🎪「五色の舟」
🎪「ダレン・シャン」
🎪「シシリエンヌ」
🎪「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」
と言ったフリークスものは大好きなジャンルです。
「みんな一緒でお揃いが正しい」とか「一種類の美だけが正しい」「マジョリティと異なるものは攻撃・排除してもいい」と言う価値観が好きになれないため、であります。
「赤には赤、青には青の美しさがある」
「視点を変えれば、赤が緑、黄色が紫に見えることもある」
と言うスタンスで生きたほうが、心の風通しがよろしいよね。
⚠️以下、ネタバレあり
「フリークス・アウト」に出てくる人物は、みんなが何かしら、マイノリティであります。「マジョリティとは違う特性」によって悩み、苦しみ、迫害を受けます。
虫を自在に操るアルビノの青年。多毛症で怪力の狼男。金属を吸い寄せる体を持つ磁石男はいつまでも子どものような体躯。発電体質のため他人に触れられない少女。
サーカス団の団長イスラエルはユダヤ系なので、ナチスドイツのユダヤ人狩りに合う。
ナチスのサーカス団の団長、フランツは多指症のため、兵役につけず、軍人として成功している兄に複雑な感情を抱く。
ナチスに抵抗するレジスタンスも、義手・義足ばかりの傷病兵の集団で、リーダーには先天的な身体障害がある。
登場人物がみんな、何かしらの形で「みんなとは違う自分」を抱えています。
フランツには予知能力があり、サーカス団の中では作曲家・ピアニストとして活動しています。
未来を見て耳コピしてきた、と思われる、レディオヘッドの「Creep」、ガンズ・アンド・ローゼズの「Sweet Child O’ Mine」のピアノ・アレンジが、とても美しいので、サントラが欲しい。
それはさておき。
ロック大好きおばさんが老婆心ながら「どういった歌詞が乗っている曲なのか?」を解説いたします。
「Creep」とはウジ虫のこと。
「特別な人間になりたかった。でも俺はウジ虫以下の存在なんだ」と歌われる曲なんですわ。フランツの心象風景を表しているナイス選曲なんです。
フランツは最終的に、自分の指を切り落とし、絞殺した兄に成り代わる、と言う選択をして破滅に向かいます。
ワタクシは常々
「人間の長所と短所は根っ子が繋がっている。自分の特徴が長所になるか短所になるかは、時代や環境や関わる人々との掛け算で決まる」
と考えています。
短所だけを切り落とす、と言うのはナンセンスだし不可能だと。
ナチスのサーカス団に乗り込んだ電気少女に、ピエロが「やあ、ドロシー!」と挨拶するシーンがあるのですが、物語終盤、黄金色の朝焼けに照らされて一行が歩き出すシーンで
「これ、イエロー・ブリック・ロードじゃん!」
と膝を打ちました。
イエロー・ブリック・ロードとは、「オズの魔法使い」でドロシーが辿る、オズの居場所へと続く路のこと。
狼男はライオン。
磁石男はブリキのロボット。
虫男はかかし。
電気少女がドロシー。
身を呈して電気少女を守ったことで、彼女に「自分が力を使わなければ仲間を守れない」と気づかせた、イスラエルはオズの魔法使い。
実はみんな、自分の願いを叶えるための力は最初から持っていた。足枷だと思っていた自分の特性、トラウマや劣等感も含めた自分の個性を受け入れて肯定した時に、仲間を守る力に変換された。
優性思想に多様性が勝利する物語、としても楽しめますが「自分の個性を肯定した者たちと自分の個性を切り捨てようとした者の明暗の寓話」としても味わい深い作品です。
ポリがコレっている世の中で、ポリのコレり方に違和感を抱くことが多いのですが(ポリコレに関しては、理念には賛同しますが、やり方には疑問を抱く、と言うスタンスです)「フリークス・アウト」は健全な多様性讃歌の物語だと思います。
「あなたがたはみな奇形なのです。しかしいつでも奇形だったのです。人生は奇形です。だからこそ、それがその希望であり栄光なのです」
(アルフレッド・ベスター「虎よ!虎よ!」)
本日も一緒に過ごして下さった皆さん、ありがとうございました💕
ワタクシ、映画好きを自称していながら不勉強だったのですが「イタリアのアカデミー賞」と呼ばれているダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞がアツい。らしい。
今年度のドナテッロ賞にて、16部門ノミネート、6部門受賞したのが「フリークス・アウト」。
特殊能力を持ったサーカス団の団員たちが、ナチスドイツと戦うーーと言う設定だけ聞くと、B級ビザール映画か?と思いきや、なかなかの佳作でした。
元々、ワタクシ
🎪「少女椿」
🎪「異形の愛」
🎪「五色の舟」
🎪「ダレン・シャン」
🎪「シシリエンヌ」
🎪「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」
と言ったフリークスものは大好きなジャンルです。
「みんな一緒でお揃いが正しい」とか「一種類の美だけが正しい」「マジョリティと異なるものは攻撃・排除してもいい」と言う価値観が好きになれないため、であります。
「赤には赤、青には青の美しさがある」
「視点を変えれば、赤が緑、黄色が紫に見えることもある」
と言うスタンスで生きたほうが、心の風通しがよろしいよね。
⚠️以下、ネタバレあり
「フリークス・アウト」に出てくる人物は、みんなが何かしら、マイノリティであります。「マジョリティとは違う特性」によって悩み、苦しみ、迫害を受けます。
虫を自在に操るアルビノの青年。多毛症で怪力の狼男。金属を吸い寄せる体を持つ磁石男はいつまでも子どものような体躯。発電体質のため他人に触れられない少女。
サーカス団の団長イスラエルはユダヤ系なので、ナチスドイツのユダヤ人狩りに合う。
ナチスのサーカス団の団長、フランツは多指症のため、兵役につけず、軍人として成功している兄に複雑な感情を抱く。
ナチスに抵抗するレジスタンスも、義手・義足ばかりの傷病兵の集団で、リーダーには先天的な身体障害がある。
登場人物がみんな、何かしらの形で「みんなとは違う自分」を抱えています。
フランツには予知能力があり、サーカス団の中では作曲家・ピアニストとして活動しています。
未来を見て耳コピしてきた、と思われる、レディオヘッドの「Creep」、ガンズ・アンド・ローゼズの「Sweet Child O’ Mine」のピアノ・アレンジが、とても美しいので、サントラが欲しい。
それはさておき。
ロック大好きおばさんが老婆心ながら「どういった歌詞が乗っている曲なのか?」を解説いたします。
「Creep」とはウジ虫のこと。
「特別な人間になりたかった。でも俺はウジ虫以下の存在なんだ」と歌われる曲なんですわ。フランツの心象風景を表しているナイス選曲なんです。
フランツは最終的に、自分の指を切り落とし、絞殺した兄に成り代わる、と言う選択をして破滅に向かいます。
ワタクシは常々
「人間の長所と短所は根っ子が繋がっている。自分の特徴が長所になるか短所になるかは、時代や環境や関わる人々との掛け算で決まる」
と考えています。
短所だけを切り落とす、と言うのはナンセンスだし不可能だと。
ナチスのサーカス団に乗り込んだ電気少女に、ピエロが「やあ、ドロシー!」と挨拶するシーンがあるのですが、物語終盤、黄金色の朝焼けに照らされて一行が歩き出すシーンで
「これ、イエロー・ブリック・ロードじゃん!」
と膝を打ちました。
イエロー・ブリック・ロードとは、「オズの魔法使い」でドロシーが辿る、オズの居場所へと続く路のこと。
狼男はライオン。
磁石男はブリキのロボット。
虫男はかかし。
電気少女がドロシー。
身を呈して電気少女を守ったことで、彼女に「自分が力を使わなければ仲間を守れない」と気づかせた、イスラエルはオズの魔法使い。
実はみんな、自分の願いを叶えるための力は最初から持っていた。足枷だと思っていた自分の特性、トラウマや劣等感も含めた自分の個性を受け入れて肯定した時に、仲間を守る力に変換された。
優性思想に多様性が勝利する物語、としても楽しめますが「自分の個性を肯定した者たちと自分の個性を切り捨てようとした者の明暗の寓話」としても味わい深い作品です。
ポリがコレっている世の中で、ポリのコレり方に違和感を抱くことが多いのですが(ポリコレに関しては、理念には賛同しますが、やり方には疑問を抱く、と言うスタンスです)「フリークス・アウト」は健全な多様性讃歌の物語だと思います。
「あなたがたはみな奇形なのです。しかしいつでも奇形だったのです。人生は奇形です。だからこそ、それがその希望であり栄光なのです」
(アルフレッド・ベスター「虎よ!虎よ!」)