岸辺露伴ルーヴルへ行く
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こんばんは✨シズカです✒️
累計発行部数が一億部、と言う国民的漫画「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ。登場人物で、私が一番好きなのが岸辺露伴です。
シリーズ屈指の人気キャラであり、彼を主人公にしたスピン・オフシリーズ「岸辺露伴は動かない」まで存在しています。
NHKが製作した、この「岸辺露伴は動かない」シリーズのドラマ版が、原作ファンもこぞって絶賛するほど素晴らしい出来映えでして、今回めでたく映画化の運びとなりました。
先日観てきましたが、ジョジョファン目線からも、映画ファン目線からも、美術ファン目線からも、素晴らしい映画でした。
「『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』映画館で見ちゃった……」
と語ってくれた仲良し様が、シズカンヌ映画祭 気の毒な観客部門 MVPなんですが、あの映画見るくらいなら、露伴ルーヴル、映画館で10回見たほうが絶対いいよ!
以下、箇条書きですが感想です。
⚠️ネタバレあり。
ルーヴル美術館に収蔵されている、無名の日本人絵師、山本仁左衛門の「この世で最も黒い絵」に関わる人々が皆、不可解な死を遂げていくーーと言うのが今作の粗筋。
✒️「日本の美術品はなるべく、実物を見なさい。掛軸、屏風、仏像。同じ空間で実際に観賞されることを念頭に置いて、どの高さに飾られるか、どの目線や角度から見られるかを計算して作られているから」と言います。
ワタクシの推し絵師の一人が河鍋暁斎。妖怪や幽霊の絵を多く残しています。
彼の描いた幽霊図を実際に見たことがありますが、本当に幽霊に睨まれているような、幽霊の目に本当に自分が映っているかのようなリアリティにゾッとしました。情念なんてものは目には見えないにも関わらず、画鬼とまで呼ばれた暁斎の絵にはそれが描かれている。
「このまま目を合わせていたら、祟られそう……」と感じる、鬼気迫るものがあって、一人でその空間に長居するのが怖いほどでした。
北斎の「生首の図」なんて、実際に見れたら物凄いんだろうなぁ。
閑話休題。
「絵画に宿る力は、実際に対峙した時に本領を発揮する」と信じている人間にとっては「見ると発狂して死ぬ絵画」ってのは、荒唐無稽とも言い切れない「あるかないかと聞かれたら、ある前提でいろいろ想像するのが楽しい」題材です。
因みに、これまた、ワタクシお気に入りの画家ベクシンスキーの絵は「3回見たら死ぬ絵」と言われています。
✒️露伴ちゃんの祖母役が白石加代子さまって最高&贅沢すぎる😭
白石加代子さまの百物語も生で聴くとガチでチビりそうになります。私はもう、その場にいたくなかった。この人の怪談には本当に化物が寄ってくるで、と思った。化物が出る前に帰りたかった(最大級の賛辞)。
✒️岸辺露伴を演じている時、高橋一生の手の美しさが際立つんですよ。私は吉良良影ではないので、異性の手に性的興奮を感じることはないのですが、高橋一生を起用して大正解だったのは、この、手の美しさ、手の説得力にもあると思う。
これ、細っこいだけの手では、岸辺露伴の漫画家としての胆力が感じられないし、ゴツいだけでも、漫画家としての神経の細やかさが醸し出せない。
いい感じの力強さと優雅さが絶妙なバランスで併存している。
デューラーの「祈る手」を彷彿とさせる、
手を使う生業に魂を捧げる人間の手、としての説得力があるんですわ。
「祈る手」にまつわるエピソードも、それで映画一本撮れるくらいエモいんで、興味がある方はぜひ、お調べください。
✒️実写化にあたり「再現度が高すぎる」と原作ファンがザワついたのが、担当編集者の泉京香ちゃん。
最初は「え、康一くんのいない岸辺露伴って大丈夫なんか……?」と思ってたんですが、露伴ちゃんへのツッコミ役&振り回され役&コミカル要員として、京香ちゃんが大活躍してくれています。
人の業や、人外の呪いや祟りが渦巻く、動かないシリーズにおいて、京香ちゃんのセメント・メンタルとスイーツっぷりが、救済として機能している場面が多々あるのです。
闇の中の闇、黒の中の黒をテーマにした今作。原作には京香ちゃんは登場しないのですが、映画版では、ワトソンポジションとしていい仕事しているのに加え「京香ちゃんがいてくれてよかった」と安堵させてくれる一点の光になっていましたね。
✒️今作はホラー映画としても秀逸な作りになっています。
「ダ・ヴィンチ・コード」×「IT」×「ヘレディタリー」くらい見応えがありました。
自分にとって一番恐ろしいものが襲ってくる幻覚が見える絵画。
人間にとって一番恐ろしいものは、自らの後悔、逃れられない先祖の業。
岸辺露伴にとって「全てを忘れる」って、漫画家生命に直結するダメージなわけで、唯一助かる道が、一番の恐怖を伴う道、って救い様がないじゃないか。
だがしかし、そこは我らが岸辺露伴先生なので、ちゃんと自分に「保険」はかけています。
さすが先生!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!
そこにシビれる!あこがれるゥ!
✒️一つ欲を言うなら仁左衛門の「黒い絵」は松井冬子さまに描いて頂きたかった。物語のテーマとも親和性の高い画風だし、現代日本画家で一番好きです。
✒️映画を観ていると、100作に1作くらい「あ~、面白かった!」で終わりではなく「ありがとう、この映画を作ってくれてありがとう、世に出してくれてありがとう」と、製作チームにジャンピング・ジャック・フラッシュ五体投地したくなる作品に出会うことがあります。
その1作がこの「岸辺露伴ルーヴルへ行く」です。
累計発行部数が一億部、と言う国民的漫画「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ。登場人物で、私が一番好きなのが岸辺露伴です。
シリーズ屈指の人気キャラであり、彼を主人公にしたスピン・オフシリーズ「岸辺露伴は動かない」まで存在しています。
NHKが製作した、この「岸辺露伴は動かない」シリーズのドラマ版が、原作ファンもこぞって絶賛するほど素晴らしい出来映えでして、今回めでたく映画化の運びとなりました。
先日観てきましたが、ジョジョファン目線からも、映画ファン目線からも、美術ファン目線からも、素晴らしい映画でした。
「『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』映画館で見ちゃった……」
と語ってくれた仲良し様が、シズカンヌ映画祭 気の毒な観客部門 MVPなんですが、あの映画見るくらいなら、露伴ルーヴル、映画館で10回見たほうが絶対いいよ!
以下、箇条書きですが感想です。
⚠️ネタバレあり。
ルーヴル美術館に収蔵されている、無名の日本人絵師、山本仁左衛門の「この世で最も黒い絵」に関わる人々が皆、不可解な死を遂げていくーーと言うのが今作の粗筋。
✒️「日本の美術品はなるべく、実物を見なさい。掛軸、屏風、仏像。同じ空間で実際に観賞されることを念頭に置いて、どの高さに飾られるか、どの目線や角度から見られるかを計算して作られているから」と言います。
ワタクシの推し絵師の一人が河鍋暁斎。妖怪や幽霊の絵を多く残しています。
彼の描いた幽霊図を実際に見たことがありますが、本当に幽霊に睨まれているような、幽霊の目に本当に自分が映っているかのようなリアリティにゾッとしました。情念なんてものは目には見えないにも関わらず、画鬼とまで呼ばれた暁斎の絵にはそれが描かれている。
「このまま目を合わせていたら、祟られそう……」と感じる、鬼気迫るものがあって、一人でその空間に長居するのが怖いほどでした。
北斎の「生首の図」なんて、実際に見れたら物凄いんだろうなぁ。
閑話休題。
「絵画に宿る力は、実際に対峙した時に本領を発揮する」と信じている人間にとっては「見ると発狂して死ぬ絵画」ってのは、荒唐無稽とも言い切れない「あるかないかと聞かれたら、ある前提でいろいろ想像するのが楽しい」題材です。
因みに、これまた、ワタクシお気に入りの画家ベクシンスキーの絵は「3回見たら死ぬ絵」と言われています。
✒️露伴ちゃんの祖母役が白石加代子さまって最高&贅沢すぎる😭
白石加代子さまの百物語も生で聴くとガチでチビりそうになります。私はもう、その場にいたくなかった。この人の怪談には本当に化物が寄ってくるで、と思った。化物が出る前に帰りたかった(最大級の賛辞)。
✒️岸辺露伴を演じている時、高橋一生の手の美しさが際立つんですよ。私は吉良良影ではないので、異性の手に性的興奮を感じることはないのですが、高橋一生を起用して大正解だったのは、この、手の美しさ、手の説得力にもあると思う。
これ、細っこいだけの手では、岸辺露伴の漫画家としての胆力が感じられないし、ゴツいだけでも、漫画家としての神経の細やかさが醸し出せない。
いい感じの力強さと優雅さが絶妙なバランスで併存している。
デューラーの「祈る手」を彷彿とさせる、
手を使う生業に魂を捧げる人間の手、としての説得力があるんですわ。
「祈る手」にまつわるエピソードも、それで映画一本撮れるくらいエモいんで、興味がある方はぜひ、お調べください。
✒️実写化にあたり「再現度が高すぎる」と原作ファンがザワついたのが、担当編集者の泉京香ちゃん。
最初は「え、康一くんのいない岸辺露伴って大丈夫なんか……?」と思ってたんですが、露伴ちゃんへのツッコミ役&振り回され役&コミカル要員として、京香ちゃんが大活躍してくれています。
人の業や、人外の呪いや祟りが渦巻く、動かないシリーズにおいて、京香ちゃんのセメント・メンタルとスイーツっぷりが、救済として機能している場面が多々あるのです。
闇の中の闇、黒の中の黒をテーマにした今作。原作には京香ちゃんは登場しないのですが、映画版では、ワトソンポジションとしていい仕事しているのに加え「京香ちゃんがいてくれてよかった」と安堵させてくれる一点の光になっていましたね。
✒️今作はホラー映画としても秀逸な作りになっています。
「ダ・ヴィンチ・コード」×「IT」×「ヘレディタリー」くらい見応えがありました。
自分にとって一番恐ろしいものが襲ってくる幻覚が見える絵画。
人間にとって一番恐ろしいものは、自らの後悔、逃れられない先祖の業。
岸辺露伴にとって「全てを忘れる」って、漫画家生命に直結するダメージなわけで、唯一助かる道が、一番の恐怖を伴う道、って救い様がないじゃないか。
だがしかし、そこは我らが岸辺露伴先生なので、ちゃんと自分に「保険」はかけています。
さすが先生!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!
そこにシビれる!あこがれるゥ!
✒️一つ欲を言うなら仁左衛門の「黒い絵」は松井冬子さまに描いて頂きたかった。物語のテーマとも親和性の高い画風だし、現代日本画家で一番好きです。
✒️映画を観ていると、100作に1作くらい「あ~、面白かった!」で終わりではなく「ありがとう、この映画を作ってくれてありがとう、世に出してくれてありがとう」と、製作チームにジャンピング・ジャック・フラッシュ五体投地したくなる作品に出会うことがあります。
その1作がこの「岸辺露伴ルーヴルへ行く」です。