The Survivor
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こんばんは✨シズカです🎥
本日も一緒に過ごして下さった方、ありがとうございました😊
休暇中に観た映画「アウシュビッツの生還者」が、あまりにも素晴らしくてですね。感想をしたためたいと思います。
ブログタイトルは原題です。主人公の生き様は「生きて還ってきた者」より「生き抜いてきた者」と翻訳するのがふさわしい気がします。生きて還ってきた後も、ずっと地獄にまとわりつかれているから。
まず、監督のバリー・レヴィンソンは、ワタクシが信頼している監督の一人です。
派手さはないものの、心理描写が丁寧、文学的な表現を得意とする、と言う印象が強く、薔薇や百合ではなく、雛菊のような美しさのある作品を撮るフィルム・メイカーだと思っています。
堅実で叙情的、骨太だけど上品さがある、と言う点では、クラシックに例えるとブラームスあたりかな。
レヴィンソン監督は「映像で語る」手法を得意とする名匠でもあります。
主人公に唯一協力的な、移民センターの女性従業員。彼女の顔にだけ日の光が射して、まるで聖母子像のマリアのように見えるシーンでは「誰も自分を理解してくれない中で彼女だけが救いだったんだな」と理解できる。
収容所での出来事のトラウマで、新婚初夜に夫婦生活を営むことができない主人公。でも、次のシーンで、壁に飾られた家族写真がさりげなく映し出され、観客側が「この二人は無事、子供をもうけることができたんだ」と理解できる。
ここらへんの、こまやかな職人芸にも、惚れ惚れとします。
今作のラスト・シーンが海辺だと言うのもありますが、ギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロスの「永遠と一日」を思い出しました。
圧巻の映像美もさることながら、ラスト・シーンでの
「今日と言う日の長さは?」
「永遠と一日」
と言う詩的なセリフのやり取りが印象的な名作です。
親友を殺さなければ生き残ることができなかった日。家族の中で一人だけ、救うとすれば誰を選ぶか突きつけられた日。生まれて2時間の甥っ子が無惨に殺された日。
恋人との僅かな蜜月の思い出が、地獄の底を生きる日々を何十年も支えることがあれば、心が焼き切れるような一日のトラウマにその後の人生を何十年も支配されることもある。人生における一日の占める割合は、その日に起きた出来事によって左右される。
レヴィンソン監督は「レインマン」「スリーパーズ」「グッドモーニング、ベトナム」etc.人間に宿る不屈の精神をテーマにすることの多い監督です。
先天的な障害、刑務所内での虐待問題、ベトナム戦争への従軍。そして、アウシュビッツへの強制収容。自分では動かしようがない状況に置かれた時、人間はどう生きるか。
雛菊の花言葉の一つが「希望」。誰に見られることがなくても、日に向かってひっそりと咲く雛菊が、やはりぴったりな作風だと思います。
人間にとって、希望が絶望よりも残酷な仕打ちをもたらすこともありますが、その部分も真っ向から描き切るあたり、レヴィンソンはやっぱり、信頼できるんだよね。
「アウシュビッツの生還者」、映画好きには是非、観て頂きたい名作です。と言うか、故・淀川長治先生にお見せして差し上げたかったなぁ。淀川先生、きっとお気に召したと思うんだ。
本日も一緒に過ごして下さった方、ありがとうございました😊
休暇中に観た映画「アウシュビッツの生還者」が、あまりにも素晴らしくてですね。感想をしたためたいと思います。
ブログタイトルは原題です。主人公の生き様は「生きて還ってきた者」より「生き抜いてきた者」と翻訳するのがふさわしい気がします。生きて還ってきた後も、ずっと地獄にまとわりつかれているから。
まず、監督のバリー・レヴィンソンは、ワタクシが信頼している監督の一人です。
派手さはないものの、心理描写が丁寧、文学的な表現を得意とする、と言う印象が強く、薔薇や百合ではなく、雛菊のような美しさのある作品を撮るフィルム・メイカーだと思っています。
堅実で叙情的、骨太だけど上品さがある、と言う点では、クラシックに例えるとブラームスあたりかな。
レヴィンソン監督は「映像で語る」手法を得意とする名匠でもあります。
主人公に唯一協力的な、移民センターの女性従業員。彼女の顔にだけ日の光が射して、まるで聖母子像のマリアのように見えるシーンでは「誰も自分を理解してくれない中で彼女だけが救いだったんだな」と理解できる。
収容所での出来事のトラウマで、新婚初夜に夫婦生活を営むことができない主人公。でも、次のシーンで、壁に飾られた家族写真がさりげなく映し出され、観客側が「この二人は無事、子供をもうけることができたんだ」と理解できる。
ここらへんの、こまやかな職人芸にも、惚れ惚れとします。
今作のラスト・シーンが海辺だと言うのもありますが、ギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロスの「永遠と一日」を思い出しました。
圧巻の映像美もさることながら、ラスト・シーンでの
「今日と言う日の長さは?」
「永遠と一日」
と言う詩的なセリフのやり取りが印象的な名作です。
親友を殺さなければ生き残ることができなかった日。家族の中で一人だけ、救うとすれば誰を選ぶか突きつけられた日。生まれて2時間の甥っ子が無惨に殺された日。
恋人との僅かな蜜月の思い出が、地獄の底を生きる日々を何十年も支えることがあれば、心が焼き切れるような一日のトラウマにその後の人生を何十年も支配されることもある。人生における一日の占める割合は、その日に起きた出来事によって左右される。
レヴィンソン監督は「レインマン」「スリーパーズ」「グッドモーニング、ベトナム」etc.人間に宿る不屈の精神をテーマにすることの多い監督です。
先天的な障害、刑務所内での虐待問題、ベトナム戦争への従軍。そして、アウシュビッツへの強制収容。自分では動かしようがない状況に置かれた時、人間はどう生きるか。
雛菊の花言葉の一つが「希望」。誰に見られることがなくても、日に向かってひっそりと咲く雛菊が、やはりぴったりな作風だと思います。
人間にとって、希望が絶望よりも残酷な仕打ちをもたらすこともありますが、その部分も真っ向から描き切るあたり、レヴィンソンはやっぱり、信頼できるんだよね。
「アウシュビッツの生還者」、映画好きには是非、観て頂きたい名作です。と言うか、故・淀川長治先生にお見せして差し上げたかったなぁ。淀川先生、きっとお気に召したと思うんだ。