総務のHさん 〜究極の選択〜
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その日僕は入社希望者の面接を担当することになっていた。
別に取り立てて人事の業務に詳しい訳じゃない、ただ人手が足りないがために上からお鉢が回ってきただけだ……やれやれ、弊社の万年人手不足には困ったものだ。
「はじめまして、今日はよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
そうお互いに挨拶して顔を上げた途端、ある一点に目が釘付けになる。
ギリギリ……かろうじて、目を凝らすと見えるくらいに、その、谷間が。
そのあと何を話したのか、正直記憶がおぼろげだ。たぶん、当たり障りのない範囲でとりとめのない質問をしたんだと思う。
なんとかかんとか彼女の胸から目を逸らしながら、普段より少し早口になっていることを自覚しつつ問う。
「では最後に、何か質問はありますか」
「……ひとつだけ、よろしいでしょうか」
そう言って少しだけ上体をこちらに倒した彼女─Hさん─は、くすりと笑って言った。
「そんなに気になります?私のここ」
くっきりとした陰影の刻まれた谷間が、瞼の裏にまで焼き付いたようで、背筋を冷や汗が伝う感触がした。
僕は…………
▷彼女の入社を認める
彼女の入社を認めない
──to be continued──