静寂が前戯になる時間
雪がやみ、
白く冷えていた世界が、静かに息をゆるめた。
その空気を胸いっぱいに吸い込むと、
私の中で、ゆっくりと熱が目を覚ますのがわかる。
指先に残る微かな感覚。
まだ触れていないのに、
触れられる前の記憶だけが、
身体を先にほどいていく。
焦らされる時間は、嫌いじゃない。
視線が重なるまでの沈黙、
言葉を交わす前の温度差――
それさえも、甘い前戯になるから。
これから始まるのは、
ただの「エロ」じゃない。
欲情の奥にある、
深く沈み込むような癒し。
委ねてもいい。
求めてもいい。
私は、全部を受け止める準備ができている。
静かな午後、
あなたと私だけの世界で、
官能と安らぎが溶け合う時間を──。
このあと、
そっと扉を開けて。

