春の湯けむり、秘密の時間
静かな庭園に、やわらかく舞い落ちる桜。
湯けむりに包まれながら
石の上にそっと腰掛けると、
ほんのり湿った空気が肌にまとわりつく…。
「…見てるの?」
振り向いた瞬間、
視線が合ってしまった気がして
胸の奥が、きゅっと熱くなる。
浴衣の隙間から
ふわりと伝う温もりと
ほんの少しだけ開いた胸元。
わざとなのか、無意識なのか
自分でもわからないまま——
「こっち来る?」
指先で水面をなぞると
揺れる桜が、あなたを誘うみたいに広がる。
近づく気配。
その距離が、少しずつ、縮まっていく。
何も触れていないのに
もう、触れられてるみたいで…
「ねぇ…」
小さく囁いた声は
湯気に溶けて、ふたりだけの秘密になる。
——このまま、もう少しだけ。
春のぬくもりと一緒に
あなたを感じていたい。

