前編】「会議室の鍵」

「今夜、20時に“あの部屋”来い」
それだけのメッセージ。課長の言葉に、私は有無を言えない。
──会社の誰もいない時間。
私が合鍵を持つ、最奥の小会議室。
シャッターを閉めて、ブラインドを下ろし、空調の止まった静寂に自分のヒールの音だけが響く。
ガチャン…
内鍵が閉まる音に、体がびくりとした。
「もう逃げられないな」
私は押し倒されるでもなく、ただ立たされたまま、
シャツのボタンを一つずつ外される。
指が、鎖骨から谷間へと這い、下腹部までゆっくりと沈んでいく。
「今日も…ここ、すでに濡れてるじゃないか」
タイトスカートの奥、ショーツ越しに触れられた瞬間、
ぬちゅ、といやらしい音が立つ。
「声出すなよ。まだ誰か、コピー室に残ってる」
耳元で低く囁かれた声に、私の膣はきゅうっと締まり、腰が勝手に揺れた。
「机に両手ついて。突っ込むのはまだ先だ。今日は時間がある」
そう言って、私はスカートをまくられ、ヒールを履いたままの足を肩幅に開かされた。
空っぽの会議室に響くのは、濡れた音と私の荒い息づかいだけ。
それでも…
この鍵を、捨てられない。